太陽に素直な設計

Wood Villageは一級建築士松尾和也氏の指導を受け、「太陽に素直な設計」を実施しています。

「太陽に素直に設計する」というのは、冬は日光の暖かさ・明るさをたっぷりと室内に取り込み、夏は日差しを遮断して室内が暑くなるのを防ぐ設計です。

そうすることにより、暖房や冷房、照明の使用を減らし、家計にも健康にも、環境にも優しい住まいになります。

上越の冬は日光に恵まれないことも多いですが、それでもきちんとシミュレーションをして工夫を凝らした設計をすることで、一般的な住宅よりも光熱費を大幅に抑えることができます。

たくさんのお金をかけて家を重厚につくったり高性能な設備を備えたりする前に、まずは空から降ってくる無料のエネルギーを有効に利用することを最優先に考えます。

窓からの日射取得

太陽が当たる場所を探す

建物のプランを考えるとき、ついつい間取りから考え、結果として建物の形状が決まりがちです。しかし「太陽に素直な設計」をするためには、間取りよりも前に敷地に対して「配置計画」を行うことが大切です。

図1-1は「等時間投影図」と呼ばれ、敷地の緯度、経度、周りの建物の形状や高さを設定して、季節ごと、時間ごとの影をシミュレーションして作図したものです。

敷地の中で一番日当たりが良い場所を把握し、その場所を中心に建物の形状や間取りを考えていくことで、光熱費を抑えた省エネな住まいをつくることができます。

「何となく庭は南側」「現地に行ってみたら東の日当たりが良かったから」といった曖昧な感覚ではなく、季節や時間の移り変わりまで考慮し、その敷地に最適な住まいをプランニングします。

隣家の日陰シミュレーション
図1-1
住宅設計時の表面積の比較
図1-2

熱が逃げないカタチを考える

断熱材や断熱窓を使うことで家の断熱性能を上げることもできますが、それ以前に家の形そのものを工夫することで、冷暖房が漏れにくい、省エネな住まいにすることができます。

ポイントは、外気に触れる家の表面積を小さくすることです。図1-2は、同じ体積でも表面積が異なる形状を表しています。この中では真四角の形状、つまり建物で言うと「総二階」で縦横の長さの差が大きくない形状がもっとも表面積が小さくなります。

ただ、実際に家をプランニングする際には様々な条件が伴います。必ずしも真四角でなければいけない、というわけではなく、真四角が一番熱の損失が少ない、ということを念頭に置いておくことで、他の条件との兼ね合いを考えながら優先順位を決めていきます。

上越市の自由設計の家
上越の自由設計で建てたパッシブ住宅
上越の完全自由設計の家のリビング
上越の自由設計の戸建て

太陽の入口を考える

省エネな住まいには、窓の位置がかなり重要です。

例えば、一般的な大きさの掃き出し窓で庇が無い場合、南の窓から入ってくる日射のエネルギーはコタツ1台分に相当します。それが建物の何ヵ所にもつくわけですから、どこにどの大きさの窓を配置するかによって、年間の冷暖房費は何割も違ってきます。

間取りを考えるときは、つねに水平面・垂直面それぞれで、どのように室内に日射を取り込むことができるかを考えます。

先述したとおり、最も省エネになる形だけが正解というわけではありませんが、変形なプランニングをする際には、日射を犠牲にしてでも優先するべき条件か否か、を考えながら設計を進めていきます。

住宅設計時の効率的な日射取得
図1-3
日射遮蔽の設計の考え方
図1-4

夏の日射をさえぎる

冬はいかに日射を取り込むかを考えますが、逆に夏はいかに日射を遮るか、を考える必要があります。

もっとも一般的なのは庇(ひさし)を付けることです。夏と冬では太陽の高度が異なるので、それを計算して庇の長さを決めることで、夏は日射を遮り冬は取り込む、という設計ができます。

ただ、庇が効果的なのは、窓がほぼ真南を向いているときだけです。真南から15℃以上東や西に建物が向いている場合、庇の効果はかなり低くなってしまいます。そういった場合はアウターシェードや外付けブラインドを設置することで、夏だけ日射を遮る工夫をします。

なお、カーテンなどでも日射をカットすることができますが、日射遮蔽は建物の外側で行うほうが効果的です。